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市民の人権擁護の会 日本支部
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オピニオン2007/3/22


患者に暴行をはたらいた 精神科医に対する有罪判決が下されました。 この事件に関連した問題について皆様に 知っていただきたいと思います。


関係者各位

 司法が裁く、異常な診療現場の実態
精神科医による暴行事件に対する判決と今後の行政処分に向けて

前略

精神科医による患者暴行事件に対する判決公判が、3月5日午後1時15分より東京地裁407号法廷で開かれた。患者の髪をつかんで壁に何度も叩きつけるなどし、傷害の罪に問われていた精神科クリニック・「東京クリニック(新宿区)」院長・伊澤純被告に対し、東京地裁は懲役2年、執行猶予3年の判決を下しました。

昨年12月、新宿区歌舞伎町で診療を行っていた同被告は、女性患者に診察結果を尋ねられたことに対して激昂し、女性患者の髪をつかんで壁に3度叩きつけて全治3週間の怪我を負わせた上、助けに入った女性患者の夫の首などを強く押すなどして全治10日の怪我を負わせ、「夫婦そろって頭がおかしい」などと何度も暴言を吐いていました。

大寄淳裁判官は、被告の犯行について「短絡的な動機に汲むべきものはない」とし常軌を逸した被告の行為を軽く見ることはできないとし、懲役2年執行猶予3年(求刑懲役2年)を言い渡した。痴漢行為や暴力行為の前科があり、診療現場での暴力行為によって昨年書類送検もされていた同被告に対し、ようやく司法が断罪したことになります。

ところが、このような司法による判決も、問題行動のあった精神科医の診療行為を抑制することができず、司法判断では医師の倫理を取り締まることができないようです。先月26日の初公判では、「しばらく休診して別の場所で再開することを考えている」などと再発防止に努める発言をしていた同被告は、その発言を翻すよう、保釈直後の先月28日から通常通りに診療を再開しています。判決を言い渡された5日も、午後4時から診療を行うとホームページには記載されています。

同被告(36歳)は、東京クリニックで非常勤医師(1998年~2002年)、常勤医師(2002年~2003年)を経て、2003年から院長となっています。まだ若い院長であるが、財政状況は良好であり、借金もなく、預金も1億円ほどあるということです。

そこには、医師という立場にある者が診療の現場で患者に暴行をはたらいた、という事実を省みている態度がはっきり見られません。行政当局によると、このような形での診療行為の再開というのは初めての事例である、ということです(通常、有罪判決を受ける事例では、医師倫理が働き、被告は診療を自粛、診療所を閉鎖、あるいは譲渡したりするということ)。性善説に基づく医師法において、このような異常事態は想定しておらず、現行の医師法や医療法では指導や改善に限界があることを改めて認識し、司法・行政による早期解決が望めない、特異な事例となっています。

また、同クリニックには、傷害事件とは別の問題が存在する。昨年12月8日には、都議会で危険な薬物乱用に結びつく、同クリニック(「都内のある心療内科」として質問されている)による処方や診察に関する問題が取り上げられています。都議員によると、同クリニックでは、禁断症状や自殺なども引き起こし、覚醒剤のような薬理効果のある向精神薬「リタリン」が、ろくな診察もなく副作用の説明もなく、患者に言われるがままに大量に処方している問題があると指摘され、行政による実態調査と適切な措置が求められていました。

新宿区での開設から2年余の間、30件もの苦情を受けている行政機関では、このような異常事態に対しても、最大限の努力を目指しています。東京都や新宿区では、引き続き同クリニックに対し、調査や指導を続けていく姿勢です。有罪判決によって、医師第4条第4項「医事に関し犯罪又は不正行為のあった者」とし厚生労働省へ判決を報告し、早くて来年8月頃に予定される医道審議会での諮問を目指し、準備を進めています。

医師の倫理や資格を審議する前に、リタリンの乱用や薬物依存問題につながる診療や処方の問題についても、東京都社会保険事務局によるレセプトやカルテなど診療現場の実態調査が望まれます。同時に、安易に危険な向精神薬を処方し、薬物依存や向精神薬の不正入手、あるいは違法売買や犯罪に関連するような精神医療の事例においては、麻薬取締や薬物乱用の監視・対策を強化することを当局には求められています。

こころの問題を解決しようと診察を受けに来た市民に対し、安易に病名を告げ、危険な向精神薬を処方し、薬物依存患者を生み出すような精神医療機関の問題を目視することはできません。依存症の説明もなく、リタリンや他の向精神薬を処方され、気付けば依存から抜けられなくなったという患者が生み出されないよう、マスコミ関係者や市民団体、行政機関が共に監視の目を光らせることが重要です。

今回の判決や、精神科クリニックに潜む診断・処方・薬物乱用の問題が、広く市民に知らされるよう、このような問題が行政機関、司法機関、医療関係者、有識者、市民団体、マスコミ関係者などによって取り上げられることを希求します。

草々

市民の人権擁護の会 日本支部


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