ここでは、違法な診療・処方行為が摘発された事例をいくつかご紹介します。
【事例1】薬物の不適切な大量処方
東京クリニック(東京都新宿区) 平成19年11月16日、依存性があり幻覚・妄想などの副作用があり乱用が問題視されている向精神薬リタリンを安易に処方することで有名であり、行政機関に苦情が殺到していた東京クリニックで医師免許のない従業員たちにリタリンなどの薬物を大量に処方させていた疑いが強まり、警視庁生活環境課は医師法違反容疑で、東京クリニックと関係先に家宅捜索を行った。
同クリニックには、医療法違反(不適切な診療)で東京都と新宿区保健所が同年9月18日に立ち入り調査を行っていた。
【事例2】診察せずに抗うつ剤等を処方
宝塚三田病院(兵庫県三田市) 平成19年12月3日までに、県内の60代女性のうつ病患者に直接診察をせず薬を処方するなど医師法違反の恐れがあるとみて、兵庫県は指導の中で最も重い「指摘」とし、文書で改善計画の提出を求めた。
この患者に対して同病院から直接診察を受けていないにもかかわらず、自宅に抗うつ薬などが宅配便で届くようになり、家族が送付を止めるよう再三求めたが、1、2ヶ月おきに約2年間続いた。受診経験がない女性の夫あてにも薬剤が送られてきていた。
その間、同女性は精神状態が悪化し、送られてきた薬を多量に飲んで自殺未遂を図っていた。
【事例3】
幸仁クリニック(東京都足立区) 平成19年12月18日、向精神薬リタリンを無資格の職員らが処方していた京成江戸川クリニックを開設した医療法人理事長で、精神科クリニック「幸仁クリニック」院長の板橋仁医師が、医師法違反の教唆容疑で11月に警視庁に逮捕されていたことが発表された。
板橋医師は、京成江戸川クリニック側に違法診療を行うようそそのかしたとされ、同日、同容疑で東京地裁に起訴された。
【事例4】
京成江戸川クリニック(東京都江戸川区) 平成20年1月21日、医師免許のない事務員などに向精神薬リタリンなどの処方をさせたとして医師法違反で起訴されていた、同クリニック元院長の小倉暢夫被告に対する裁判の初公判が東京地裁で開かれ、検察側から懲役1年が求刑された。
公判では、リタリンを一度に千錠処方したり、通常は2週間分しか処方できない薬を4週間分処方し、2回に渡って診察したようにカルテの虚偽記載をしたり、7種類以上の薬を一度の処方すると保険点数が低くなることから、2回に分けて処方したかのように見せる虚偽記載をするなど、ずさんな実態が明らかにされた。